『血管のぼやき』 健康メモより
私は毎日休まず心臓から全身に酸素たっぷりの血液を運んでいる動脈です。

採血などで針を刺される静脈と比べ、目立たなくても人の寿命を左右するもっとも大切な器官の一つと自負しています。

そんな私の壁が硬くなってだんだん血液が流れにくくなるのが動脈硬化と言うものです。
検診などで毎年、血圧が高い、血中脂肪が多い、血糖が高いなどと言われている私のご主人様たちは「またか」と言いつつも、何年も放っているかたがたくさんいます。

痛いなどの症状がないので、ついつい医者に行くのも面倒になってしまいがちですが、血圧、血中脂肪、血糖とも高いまま放っておくと徐々に私を動脈硬化にし、最後は脳卒中や心筋梗塞を起こして、ご主人様の致命傷となります。

さらに、最近の研究によると、血圧は中高年以降も百二十/八十mmHgくらいまでなら低いほどボケにくく、糖尿病のかたの血糖コントロールも正常に近いほどその合併症で将来、失明したり、透析を受けなければならなくなる確率が低くなるそうです。

とはいっても、医者にかかる以前に私を丈夫にする方法は色々あります。

すぐに健康食品などに頼りすぎず、バランスのよい食事を腹八分目にして、なるべくよく歩いてください。
特に、週三回でも三十分くらいさっさと歩いていただければ、血圧、血中脂肪、血糖などが下がるだけでなく、私自信も鍛えられ、私の中で血液もスムーズに流れてくれます。
ただし、早朝の運動の際などは私がペしゃんこにならないよう十分な水分補給も忘れずにお願いします。
(1999.10)


茨木市医師会 細見 洋一