不妊症の原因は多様で、単一とは限らず複数のケースが考えられ、原因不明のものも、一〇~二〇%あるといわれています。
不妊症の主な検査として、排卵障害、黄体機能、子宮の内腔の異常や卵管の通過性をみる子宮卵管造営、精液の四項目ありますが、これで異常がなければ七〇~八〇%のかたが六か月以内で妊娠します。
また、基礎体温で二相性なのに、排卵しないで卵胞の黄体化が起こる現象はあまり知られていません。高温になった直後に超音波エコーで末排卵と黄体化を確認して診断します。
一方、最近増加しているのは子宮内膜症と性感染症(主にクラジミア)による不妊症です。
これらの原因で卵管がつまってしまうことも多いのですが、卵管の卵子(受精卵)輸送障害や卵管の先端(卵管采)の卵子を拾い上げる機能が乏しくなるためです。
この症状の検査は現在のところありません。
そのため、原因疾患の治療後、通水と人工授精を繰り返し行い、半年から一年妊娠しなければ体外受精を勧めます。
妊娠能力は加齢に伴って低下します。また、高齢(三十五歳以上)になると染色体異常や奇形が増加し、流産も多くなるといわれています。
不妊症でお悩みのかたは、早めに婦人科で受診し、早期診断・早期治療を行うことをお勧めします。
(2000.4)
茨木市医師会 池田 春樹 |